Lander CULT Limited “iss.1”は現在の塗装方法の継続が難しくなり、生産完了となっておりました、こちらは注文がキャンセルとなり、保管されていた在庫となります。
塗装が剥がれやすくなっているため、若干の傷はご容赦ください。
購入は1世帯につき1台のみとさせていただきます。
転売目的での購入は絶対におやめください。転売目的、1世帯で2台以上の注文と判断した場合、注文をキャンセルさせていただく場合がございます。
あらかじめご了承くださいませ。
2019年の創設以来、わずか2年弱ほどで評価を確たるものにした東京発の新生ペダルブランド“Virtues”。中でも特に高く評価されているFuzz Face系ペダル“Lander”のCULT限定モデルです。
従来のLanderは、Virtuesのビルダーが所有する1968年製Dallas Arbiter Fuzz Face(Dallas Arbiter名義ながらNKT275を搭載した過渡期の仕様)をリファレンスにし、現代的なコンポーネントと小型軽量の筐体を使用しながらもオリジナルFuzz Faceに肉薄するファズサウンドを会得していました。
その完成度は極めて高く、通常仕様のLanderをなんら不満なく愛用している方が多いと思います。しかし、CULTではよりマニアックに、よりヴィンテージに近づけるような、2種類の完全別注の特別モデルをリクエストしました。
そのひとつが、Lander CULT Limited “iss.1”です。Virtuesが所有するFuzz Faceに加え、CULTが所有する1968年製のArbiter Fuzz Faceをリファレンスとし、通常のLanderよりも野太く荒々しい、しかし同時にオーバードライブのように分離感のあるファズサウンドを目指しました。なお、熱心なペダルファンはお解りかと思いますが、モデル名の“iss.1”は1966〜68年製のFuzz Faceの基板裏面にある表記に由来しています。
コントロール類は通常のLanderと全く同様、左上が音量を調整するVoleme、中央が入力感度を調整するPre Gain、右上が歪み量を調整するGainです。ヴィンテージのFuzz Faceと同様、Volumeのセッティングによって音色の印象が大きく異なり、Voulemeコントロールの操作によって音量と同時に音の解像度、張り出し方が変化します。Pre Gainは入力レベルを調整するもので、出力の高いギターを使用する際や、前段に配置するペダルに合わせてノブを操作します。歪みやすいアンプ、実際に歪んだアンプと組み合わせた際、音が潰れ過ぎてしまっている場合にそれを解消するような使い方も有効です。なお、特に高い出力の機材を繋げない限り、最小値(反時計回りいっぱい)から使用することをを推奨します。
まずこのCULT Limitedシリーズを企画するにあたり、最初に変更したのが“筐体”です。通常のLanderはアルミ製の板材を筐体に使用していますが、CULT Limited シリーズでは厚さ2.0mmの鉄板を使用しています。
その結果、総重量は通常のLanderから2倍以上にもなりましたが、この筐体の違いが音色にも影響を及ぼしています。特に低域の膨らみ、中域の密度感はよりオリジナルのFuzz Faceに近づき、近代製のファズとは到底思えないような、ヴィンテージ然とした太さを得るに至りました。
その筐体に施される塗装も通常のLanderとは大きく異なります。リファレンスにした1968年製Fuzz Faceの筐体は、現代と比べて非常に品質の低い鋳造によって作られており、表面が大きく荒れています。このLander CULT Limited iss.1では“鋳造表現”とも呼ばれる、極めて嗜好的な技法をあえて採用し、現代ではもう見ることのない、低品質な鋳物の質感を再現しました。そこに深い赤のラッカー系塗料で塗装をし、1968年製の赤いFuzz Faceに見られる、塗膜は薄いながらもベタ塗りのように見える質感を高い精度で再現しました。
※表面は塗膜の薄い塗料を採用しているため、塗装のかけができやすくなっております。あらかじめご了承ください。
→ 塗装方法が変更となり、塗膜が厚く、高耐久となりました。塗料は前回入荷分と同じですので、色味に変更はありません。筐体表面の凹凸には個体ごとにムラがあります。
もちろん、こだわっているのは外見だけではありません。その音色もヴィンテージのFuzz Faceに近づけるべく、通常品のLanderとは異なるトランジスタを使用し、回路の一部を変更しています。特にこだわったのは、ギターの原音と変わらぬ低域の量感、スムース過ぎず、あえて音が少し割れているような枯れた質感、そしてそれに相反する音の分離感です。
これは私(CULT 細川)の個人的な経験ですが、良いゲルマニウム・Fuzz Faceを計る指標として、複数人の識者が「原音から変わらない低域の量感があること」を挙げています。「ギターボリュームを下げてクリーンアップ(クリーンサウンドを作る)した際、その音色がバイパス音と比べて大きく乖離しない音域に収まっており、ギターボリュームを上げれば6弦ローポジションの単音が太く、しかしボヤけずに聴こえるかどうか」、そのことを指標にこのLander CULT Limited “iss.1”は1台ずつ丁寧にチューニングされています。
電源は006P 9V電池に加え、安定してDC9Vを出力できるパワーサプライ、電源アダプターでも駆動が可能。電池の消耗などで電源電圧が下がってきた際、表面のLEDの色が青から赤に変わるシステムを採用していることにより、適切な電源環境をモニタリングすることが可能です。エフェクトOFF時は信号が完全にエフェクト回路から切り離される、いわゆるトゥルーバイパス仕様です。
知りうる限り、数ある一般的なサイズ(約60mm × 約112mm)のFuzz Face系ペダルの中で、このLander CULT Limitedシリーズが最もヴィンテージらしい音色を具えたものであると自負しています。汎用的な電源環境での駆動、省サイズ(少し重いですが)、ノイズ耐性、耐久性、少ない個体差、これらの現代的な仕様を叶えながら、本物のヴィンテージFuzz Faceと代替できる音色。そして、外観にも妥協はありません。
優れたヴィンテージFuzz Face、中でもNKT275を搭載したものは、非常にプリミティブな設計ゆえ、音色がプレイヤーの腕と発想によって大きく変化します。つまり、ストラトキャスターやレスポールなどのように、非常に楽器的と言えます。ギターの種類やギター側のボリューム、果てはプレイヤーがピッキングする位置、ピックの素材からも影響を受け、Fuzz Faceは表情を変えます。そういったFuzz Faceならでは特徴は、1960〜70年代のギタリストだけでなく、現代のギタリストのクリエイティビティをも十分に刺激できるのではないでしょうか。その楽器的な音色を完全に踏襲し、現代でも使える仕様に落とし込んだこのLander CULT Limited “iss.1”をぜひ多くの方に試していただければ幸いです。
CULT 細川