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interview

スペシャルインタビュー:Shun Nokina(Leqtique EVR,Shun Nokina Design, L`)

Jul 06, 2025 HosokawaYuichiro

2019年ごろから目立った活動が無かったLeqtiqueが突如として動き出した。詳しい情報開示が無いまま、LeqtiqueはLeqtique EVRに生まれ変わり、細部まで洗練された形でペダル市場に舞い戻った。その内部に秘められた“執着”とも呼べるような拘りをShun Nokinaが語る。



取材、写真、インタビュー:細川 雄一郎 
Photos and interviewed by Yuichiro Hosokawa 

 - 2025年 3月  Shun Nokina氏の工房にて -

 

 

ー まず最初に、Nokinaさんはなぜエフェクターの製作活動を休止していたのでしょうか?

 

Shun Nokin(以下、SN):当時は本当に忙しくて、時間が無かった。それと、燃え尽き気味だったことは事実なんですよ。ある程度満足したってこと。元々やりたかったのが、良いもの、オリジナリティのあるものを安い価格で大量に市場に導入するってことで、L'でそれができたことがすごい満足だったんですよね。

 

ー 約6年の活動休止中は何をしていたんでしょうか?

 

SN:ヨーロッパ移住ですね。最初の3年くらいはShun Nokina Designの活動を除くとエフェクターの「エ」の字も出ない生活をしていました。釣りをしながら世界を放浪してましたよ。

 

ー では、なぜ突如として活動を再開したのでしょうか?

 

SN:自分の19歳の時からやっていたことが無くなって、少し寂しいというか、ぽっかり穴が空いたような感じになって、またエフェクターやりたいなっていう気持ちが少し出てきて。そんな時に細川さんから連絡が来て、その連絡でVILLAGEDOORっていう釣具屋さんを知って、そこでDRTのTiNY KLASHっていうルアーと出会うことになるんです。そのルアーはものとしての完成度が極限なんですよ。

 

▲リアルな造形、カスタマイズ性が特徴のルアー、DRT TiNY KLASH

 

ー 素人的な質問をしますが、そのルアーを使えば簡単に魚が釣れるようなものなんですか?

 

SN:僕がこのルアーでターゲットにしているのはDRT社がメインターゲットに据えているブラックバスではないので、正直分からないです。ただ、はっきり言い切れるのは、このルアーを使って、未開の地で未開の魚種が釣れた際に得られる快感はヤバイですよ。MOSFETで得たあのカタルシスに近いものがありますね。

 

ー 工具についての拘りも変わっていませんか?

 

SN: ツールは結局スイス製に落ち着く気がしています。各所で紹介してきたLindström RX8148(ニッパー)の製造元が変わって、最近のものは耐久性が低くなっているので、今はスイスのEremやアメリカのTronexのニッパーを使っていますが、他にもスイスのブランドで気になっているものがあります。スイスのPBの工具はずっと使ってきていますが、グリップも超良いし、カッコいい。今後は全部の工具をスイス製に集約していきたいですし、いずれはスイスのメーカーにカスタムした工具も使いたいですね。スイスはEUの家からも遠くないし。

 

▲Shun Nokina氏が長らく愛用しているLindström(スウェーデン)のニッパー、プライヤー、そしてPB(スイス)のドライバー類

 

ー スイスの工具のどんなところが良いんですか?

 

SN:エルゴノミックなところ、素材感、カラー。基本的にエルゴノミックなものが多いし、データシートを見ると変わった素材を使ってることが多くて、それが気持ち良いし、色もカラフルで良い。Made in Swissが良いなと今は思っていますね。

 

ー 話が逸れてしまいましたが、ルアーの話でしたね。

 

SN:TiNY KLASHっていうルアーは、パーツを自分で付け替えてカスタマイズできるんです。で、そのルアーをカスタマイズするため、久々に3DプリンターとCADに触ってしまった。2024年の頭のことです。そうしたら、自分がCADワークが好きなことを再確認して、それに夢中で取り組むようになったんです。その結果、エフェクターがやりたい、筐体をいじくりまわしたい、となったんですよ。

(DRTに関する話はLeqtiqueオフィシャルブログ“EVR ちょっといい話”で展開予定とのこと)

 

ー あのちょっとした連絡からそんなことに!

 

SN:Leqtiqueの筐体はずっと定番的な形を使っていて、一回も細かいことをいじっていないんですよ。で、L'ではダイキャストの筐体を作って使っていたんですが、ダイキャストは細かい造形に向かないので、筐体設計の実力を披露する場ではなかった。CADで筐体をいじくり回しているうちに、またエフェクター作りを再開したくなっていったんです。

 

ー 活動休止前と現在で創作姿勢に違いはありますか?

 

SN:昔は量産ってことを念頭に置いて設計していて、量産するとなると僕以外の人間も製作することになるんですけど、そうなると自分の思い描くそのものにはならない。70点以上をチームで作品として出すことができれば御の字。そんな設定感です。しかし、Leqtique EVRは製作陣を少数に絞って、自分が思い描くものに限りなく近いものを作っていきたいと思っています。それは購入後のサポートだとか、製作個体の写真がギャラリーで見れることとかのエンターテイメント性も含めて。製作台数は減っちゃうけど、じっくり作るという感じ。

 

ー 逆に活動休止前と現在の姿勢で変わっていないことはありますか?

 

SN:細川さんも知っての通り、当たり前にあった抵抗ですら入手が不可能になってきている(パーツの生産完了が続いている)。今はもう在庫があるお店から買うしかない。メーカーがもう作ってくれない。部品のセレクトより回路の方が遥かに重要ではあるんですけど、我々は安い金属皮膜抵抗とカーボンコンポジション抵抗の違いを知ってしまっているじゃないですか?

 

ー そうですね。

 

SN:そういったものの差は確実にあるから、変わらずずっと大事にしていきたい。基板上のパーツは全部キープしようと思っていますよ。

 

▲Maestoso EVRの基板。高性能OPアンプIC、カーボンコンポジション抵抗、PRP社の抵抗、WIMA社のコンデンサーなど、Nokina氏が好むパーツが並ぶ。

 

ー 久々にエフェクター業界に戻ってきて、何か感じたことはありますか?

 

SN:うーん... 部分的にすごいレベルが上がっている。プロモーションとか、PCB基板の完成度とか、CADを使える人も増えてきているし。昔はダイキャストの筐体を買ってきて、穴空けて、ポイント・トゥ・ポイントで作って、みたいな感じだったのが、レベルが上がってるなって思いますね。

でも一方で、同じようなエフェクターが増えたなって感じます。プロダクト然としてるんだけど、没個性的というか。

 

ー 多くが小綺麗にまとまったものに帰結している、と。

 

SN:そう、小綺麗。

昔はペダルボードも含めてプレイヤーの個性だったと思うんですよ。なんとなく似てるペダルが増えてくると、プレイヤーのぺダルボードも差が出なくなってくる気がするんです。ペダルボードを見た時のワクワクみたいなことは、失われるべきでない文化な気がする。

 

ー その通りだと思います。その文化が薄れてきている感じがする、と。

 

SN:そうです。ビジネス的なことも含めて、昔よりもエフェクターが道具って感じになってる気がします。

 

ー 作品から商品に変わりつつある、ということでしょうか。

 

SN:そう。自分は作品側にいたい。パっと見がアートっぽいだけじゃダメなんです。2020年代は、例えばTS系の回路のコピーでアートっぽい見た目のものじゃダメで、やっぱり中の回路も、部品のチョイスも、音もアートでないとダメだと思っています。

 

 

 

-Leqtique EVRとは-

 

ー Leqtique EVRの“EVR”とは一体どのようなことを意味しているのでしょうか?

 

SN:レッツ&ゴー(爆走兄弟レッツ&ゴー!!)観てました?

 

ー ちょっと観たことあります(笑)

 

SN:マグナムセイバーがサイクロンマグナムに変わったり、ビートマグナムに変わったりするじゃないですか?あの名前が変わることに憧れてて。Leqtiqueってベースの名前があって、そこに何か付けたいなって。

 

ー ネオトライダガーZMC的な。

 

SN:そういうこと!僕も鉄心先生の窯に放り込んでみたかったってわけ!

でもLeqtiqueの後ろに付ける単語が全然出てこなくて。ヨーロッパの楽器ショウに多く出展していた経験が自分にとって大きかったから、Leqtique Euroも良いなと思ってたんだけど、アイスランドからの影響が大きくなってきて、アイスランド語でEuroを意味するEvruを略してEVRにしようってなったんです。

 

ー アイスランドのどんなところに惹かれたり、影響を受けたりしているんですか?

 

SN:アイスランドのミニマリズムって、いわゆる北欧のミニマリズムとは違うんですよ。ミニマリズムとは違う、簡素さ。

 

ー 何かを減らすではなく、何も無い、みたいな。

 

SN:そう。まさに何も無い。じゃあどうする?っていう感覚。レイキャビクのケプラヴィーク空港に降り立った瞬間に解りますよ。溶岩地帯の重要な部分だけに道を引いてる。何も無い中で何を作るかってことが、例えば筐体のデザインにも影響を与えていると思います。裏蓋のネジが2つであったりすることはそう。

あと、BIOEFFECTっていうアイスランドの化粧品ブランドからの影響は大きいですね。色彩感とか、ロゴの書体とか。ここの化粧品を使ってるわけではないのですが。

 

ー ヨーロッパという広い意味でいうと、どんなことに惹かれているんですか?

 

SN:僕が訊きたいですよ!(笑)

「やたらヨーロッパだっていうけど、ヨーロッパにいてどんな良いことが起こるの?」ってよく訊かれるんですよ。べつに起きないから(笑)。差別だってされるし。

全てが満たされた環境で「じゃあ、お勉強しましょう」って言って始まるペダルがあっても良いと思うんですよ。ただ、ヨーロッパにいることによって、クレイジーな環境で差別されることで出てくるエフェクターってのもあるわけ。色彩感覚もそう。

 

ー そんな影響下で生まれたLeqtique EVR。過去のLeqtiqueを比べて、最も違う点はなんですか?

 

SN:テクノロジーです。Leqtiqueと違って、Leqtique EVRは大きな数を作らないので、最新テクノロジーによって生まれた少数生産の高価な素子を使えるってこととか、テクノロジーによって生まれた精密な筐体設計とか。使っているパーツもより高価なものが多いです。そんなの自己満じゃんって思われるかもしれないけど、それによって100年先も音が出るっていうような設計思想になっています。

 

ー なぜ、その100年先も音が出るという設計を目指したのでしょうか?

 

SN:中古市場でLeqtiqueのエフェクターを見ると、中身のワイヤーがぐちゃぐちゃになってるとか、分解されて変に戻されてるってことがあるんですよ。完璧に作ったつもりでも、そうなってしまう。そういったことを見てて、ムチャに使ってもちゃんと動作し続けるものを作りたくなったんです。今回は欠損しそうな要因を徹底して排除しました。

 

 

 

-Leqtique EVRに選ばれたコンポーネンツ-

▲Leqtique Maestro Antique EVR(非売品)の内部

 

ー Leqtique EVRで採用されているパーツについてお伺いいたします。長い期間に渡って採用されていたAlpha製のフットスイッチが別のスイッチに替わっています。見た目はありきたりなスイッチに見えますが、どういったものなのでしょうか?

 

 ▲Leqtique EVRに採用されているフットスイッチ。側面にはブランド名のほかに「Original Blue Switch」と印字されている。

 

SN:パっと見は一般的なスイッチなんですけど、使われてるコンポーネントはすべて拘られているスイッチなんです。3PDTフットスイッチの発祥であると言われている工場があって、そこで作られているスイッチです。

3PDTフットスイッチの耐久回数って多くは2万回、Alphaのもので3万回ですが、今回採用したブルースイッチは5万回なんですよ。

 

ー オリジン、起源と言えるフットスイッチなんですね。

 

SN:そうです。新たにクリック感の異なるフットスイッチも同じ工場で開発中です。

 

ー 続いてポット。今までの16mmのポットから9mmのポットに変更されています。これはなぜでしょうか?

▲Leqtique EVRに採用されているポット。以前よりも小型で、本体が樹脂で密閉されたのものが採用されている。

 

SN:Alpha製の9mmのポットですね。16mmのポットの方が安いし、作りやすかったんですけど、密閉型の構造にすることで埃などが入らないように、ガリなどが出にくいようにしました。

なんとなく直近の記憶で、24mmのポットの音がいいとか、大きいもの方が音がいい印象が強かったのですが、冷静に考えるとClarostatの7mmものがめちゃくちゃ音がいい大昔の記憶と重ねたり。結局はサイズよりも内部構造や素材感ですね。実際オリジナルLeqtiqueと比較したときに、スケール感が小さくなるようなことは全くなかったので間違いないんだと思います。

 

ー ジャックはSwitchcraft製だったものがCliff(UK)製になっています。この意図は?

 

▲Leqtique EVRに採用されているジャック。このジャックが作られている工場にも行って採用を決定したものだという。

 

SN:ジャックに関しては、Made In UKのCliffのジャックです。Leqtique EVRになって、ヨーロッパ産のコンポーネントを増やしたかったんです。製造のミスも少なく、Ni-Agメッキ、Cliff UKの専売特許である自己接点クリーニング端子を採用していることが、長期的なサウンドの安定性に寄与しているような気がします。総じて素晴らしいジャックです。

 

ー DCジャックも堅牢そうなものが使われていますね。

 

▲Leqtique EVRに採用されているDCジャック。金属製で重厚感のあるハウジングが特徴的である。

 

SN:そうですね。一番重要視していることは、DCジャックが筐体に止まっていること。DCジャックが基板だけに止まっていると、DCジャックにプラグが挿さったまま蹴飛ばしたりした際に壊れてしまう。それが嫌なんで、この金属製のDCジャックを選びました。これも特注品ですし、筐体アースと接地しないよう、自分たちで絶縁用のワッシャーを作っています。

 

ー 特注といえば、ワッシャー類もすべて特注なんですよね?

 

SN:そうです。パーツに元々付属しているワッシャーとの差は分かりにくいですが、すべて大きさが少し違います。

 

ー なぜワッシャーを特注しているんですか?

 

▲左がDCジャックに付属するワッシャー、右が特注されたワッシャー。わずかに外径が異なるだけでなく、艶感も異なる。

 

SN:例えば、これ(上記写真)がDCジャックに元々付いてるワッシャーなんだけど、クールじゃないんですよ。

 

ー 確かに解ります。ノブも特注ですよね?

 

SN:そうです。Dシャフトに対応しているのに、ノブ固定用のイモネジを取り付けています。

 

▲ノブの側面にネジが止まっているが、このネジは機能していないという。

 

ー (D型のシャフトはノブを差し込むだけで固定できるのに)ネジ止めをしている風に見せている、と。なぜそんな仕様を特注したんですか?

 

SN:すごい不思議なんですけど、この真鍮製のネジの金色がノブに無いと、どうも収まりが良くないんですよ、見た目的に。ここに金色の要素がどうしても欲しいんです。その工場ではDシャフト用のMXRタイプノブにネジを付けることは初めてだったから、すごい大変でした。

 

ー 電池ホルダーもほとんど見かけないものが使われていますね。

 

▲Leqtique EVRに採用されている、電池接続端子と電池の固定を兼ねたホルダー。専用の基板に取り付け、内部に配置されている。

 

SN:僕は電池スナップに強いこだわりがあって、LeqtiqueではKeystone社のファイバーでできた電池スナップを採用していたんですよ。ただ、それが廃盤になって、それからは同じくKeystoneの別の電池スナップを使っていたんですが、なんかなぁと思っていたんですよ。その電池スナップが悪いものではなかったんですけど、以前のファイバーでできたものが好き過ぎて。

 

ー 僕もそう思って、ファイバーの電池スナップをよく買って使ってましたよ。

 

SN:Leqtiqueを再開するに当たって、また電池スナップの問題にぶち当たるなと思っていて、かといって電池を使えないようにはしたくなかったんですよ。ギグバッグにエフェクターをひとつ入れて持って行く、みたいな使い方を自分がしていたし、そういった使い方もして欲しいので。そこで新たな電池スナップを探し始めて、辿り着いたのがこのKeystoneの電池ホルダーですよ。現物の光沢にやられてしまって、これはもうやるしかない!(エフェクターを作るしかない)と思ってしまって、全てを設計したんです。

 

ー では、この電池ホルダーがLeqtique復活の最大のきっかけであったと。

 

SN:そうです。この電池ホルダーのおかげです。元々のLeqtiqueの筐体にこの電池ホルダーが入らないので、いちからやり直そうとなったわけです。

 

ー フットスイッチの周りのワイヤーが乗っている黄緑色のパーツは何ですか?

 

▲フットスイッチの周りにある、ワイヤーを渡す黄緑色の小さなパーツも専用設計によって作られている。

 

SN:自分の拠点がヨーロッパになって、自分以外の人間がエフェクターを作るってなった時、こだわっていた綺麗なワイヤリングを再現しながら、何か意味も付加できるものって考えたのが、コレだったんですね。我々はスライダーって呼んでるんですけど、コイツは何かっていうと、ワイヤリングを綺麗にするものなんですよ。

 

ー ワイヤーがスライダーの溝に沿って、直線になるわけですね。

 

▲ワイヤーを取り回すスライダーは、ネジによって表面から筐体に固定され、そのネジ穴は表面の塗装されたプレートを取り付けることによって隠される。 

 

SN:そうです。スライダーにワイヤーを指で押し込むだけで、ワイヤーが綺麗に成形されるという。で、同じような溝が筐体の内側にも入っているんです。そういった溝にワイヤーを沿わせていくことで、誰でも綺麗なワイヤリングができるんです。溝の幅にも0.01mm単位でこだわっています。

あと、スライダーと筐体が接する部分はアルマイトされていなくて、スライダーが筐体アースに接地されているんです。シールド効果も狙っているんですね。

 

▲内部に使われるワイヤーは、スライダーの溝を滑るように通り、筐体内部の溝を伝って、基板に引きまわされている。

 

 

ー 筐体の内側にいくつか小さな突起がありますが、フットスイッチ周りのいくつかの突起と、L字型の囲いはどんな役割を果たしているんでしょうか?

 

SN:フットスイッチのボディの金属部分に当たって、フットスイッチを支えています。突起の頂点はアルマイトされていなくて、筐体とフットスイッチのケースが導通しているんです。

 

ー フットスイッチの金属部分も筐体アースを取っているということですか?

 

SN:そうです。その突起で取ってます。

 

ー そもそもフットスイッチを突起で浮かせているのは何のためですか?

 

SN:ワイヤーを通すためなんですが、そのワイヤーがL字型の囲いの内側を通るため、裏蓋を開けただけではワイヤーが一切見えないんです。

 

ー なぜワイヤーを隠しているんですか?

 

SN:ワイヤーがなにも見えない方が明らかにスマートで、近未来的な装いであるのと同時に、ワイヤーが隠されていないと、その部分を万が一触った際に故障する可能性があるんです。

 

ー なるほど。毎度ながら、素晴らしいアイディアですね。

 

SN:本当にもの好きが作ったペダルって感じですよ。スライダーを止めるネジは表面のプレートで隠れるようになっていたり、全ての部分に意味があるんですよ。

 

ー そして裏蓋を止めるネジのアイディアも新設計ですね。

 

▲筐体の裏蓋は、ピックやコインなどで開け閉めができる、2つの高耐久な樹脂製のネジ(イギリス製)で固定されている。

 

SN:とにかく裏蓋を簡単に開けさせたかったんですよ。

 

ー それはなぜでしょうか?

 

SN:精密な中身を見て欲しかったんですよ。機械式時計の裏面を透明にするのと同じで、中を見せたいんです。中をどんなに見てもらっても構わないっていう、自信の表れもある。それと、内部にトリマーやスイッチが付く機種があるので、そこにアクセスしやすくもなる。

あと、裏蓋を開けて中を見れるペダルがあったら、手に取る回数も増えるんじゃないかと思って。ずっとペダルボードに固定されているのも良いんだけど、そのペダルを愛でて、ひとつひとつのものを味わって欲しいなって。最近の消費文化が寂しいんです。

 

ー LeqtiqueやL'で大量にエフェクターを作っていたことからすると、大きな変化ですよね。

 

SN:本当にそうですね。だからこそ、言えることなのかもしれない。

 

ー 内面だけでなく、外見にも変化があります。まず側面の塗装がアルマイト(耐久性の高い着色処理)に代わっていますが、これにはどんな狙いがあったのでしょうか?

 

SN:元はModel Masterっていうアクリル水性塗料を使っていたんですけど、密着性の高い塗料とはいえ、剥がれやすいものなんですよ。そこで(耐久性の高い)アルマイトが良いなとは思っていたんです。近年ではコストも下がり、いろんな色調も出せるようになったため、採用しました。強度は塗装とは雲泥の差です。

色にもこだわっています。昔は出せる色の数も少なかったんですが、今は例えば青っていうだけでもかなりの数が出せるようになりました。

 

ー 側面に続いて、表面にも変化が見られます。表面にはSwirl模様が描かれたプレートが乗せられる作りになっていますが、これにはどんな理由があったのでしょうか?

 

 ▲Leqtique EVRの表面には、Shun Nokina氏によってひとつずつSwirl模様が描かれたプレートが乗せられている。

 

SN:自分はヨーロッパに住んでいるが、表面のSwirlは自分で描きたい。しかし、その都度、日本に帰ることは難しい。筐体をヨーロッパに送って塗装して、日本に送り返すようなこともコスト的に難しい。でも、プレートにすればできるんじゃないか?っていう発想からこの構造が生まれました。

元々、L'で使用したアルミ版のようなプレートを貼ろうと思っていたんですよ。ただ、薄いアルミだと質感的にもLeqtiqueらしくなく、悩んでいたんです。その時に信頼できる職人に提案してもらった、ステンレスを採用しています。なお、このステンレスのプレートは特に長くパートナーとして協力いただいている台湾の工場製です。

ステンレスの厚いプレートを表面に配することで、アルミニウムのマイクロフォニックになりがちな特性が大きく補正でき、サウンドはもちろんのこと、分かりやすい例でいうとフットスイッチのポップノイズや、踏み心地さえ変化しています。


ー なるほど。

 

SN:あと、もうひとつあるプレートの採用理由が、筐体内側のスライダーを止めているネジを隠すためです。筐体の内側にねじ止めすることもできたのですが、そうするとやはりネジが見えてしまう。

 

ー 今回はネジを見せることが嫌だったということでしょうか?

 

SN:見せたいネジと見せたくないネジがあります。

例えば、電池ホルダーを固定している特殊なネジは見せたいのですが、ただ固定しているだけのようなネジは見せたくない。電池ホルダーのネジは電池と干渉しないように極薄になっていて、電池を取り付けた時にそのネジの偉大さに気づいてくれるかも、と思っています。

 

 

-Shun Nokinaの未来-

 

ー 今後にどんなエフェクター業界を望んでいますか?

 

SN:調和ですかね。Leqtiqueをやっていた時代はバチバチだと思っていて、自分もそういったアティチュードだったし。

でも今は違って、個々が良いものを鍛錬して、それでライバルと切磋琢磨していくより、それぞれの良いものを持ち合ってさらに良いものを作ろう、っていう姿勢とかが良いんじゃないかなって思う。

 

ー なぜそう思ったんですか?

 

SN:バチバチはアホでもできるんすよ。戦争を始めるのは簡単で、平和を実現するのは難しい。

 

ー 前回のインタビューでも同じことをお伺いしたのですが、Nokinaさんはなぜペダルを作り続けるのですか?

 

SN:自己表現として、これしか無いんですよね。

 

ー 前回も同じことを言っていましたね。

 

SN:あとやっぱり各種部品かな〜。各種部品を作ってる人たちって、本当にプロなんですよ。それに触れ合えることっていうのは、人生が豊かになる。

 

ー 今後はどんなエフェクターを作っていきたいですか?

 

SN:クローンやモディファイ的なものではなく、今までにないサウンドを提供していきますので、プレイヤーの方にも同じように、今までにないようなサウンドスケープを描いて欲しい。Black Metalでも、環境音楽でも、ポップスでも、もしくはカテゴライズ不能でも、ジャンルは本当になんでもいいと思う。

エフェクター作りを志す方には、音、構造で鼓舞できるようなエフェクターを作りたい。耐久性を重視すれば、エフェクターが100年遺るかもしれないじゃないですか。だったら、革新的なものを遺したい。

パーツの価格が上がってきて、みんながSMD(表面実装基板)になっても、自分はPRPの抵抗とかカーボン・コンポジション抵抗は使い続けたいですね。

 

ー そのアティチュードを未来に遺しておきたい、ってことですよね?

 

SN:そうです。今、昔のものを見て、「こんなものあったんだ!」って思うじゃないですか?

みんながHammond 1590B、その亜種の筐体でエフェクターを作ってても良いと思うんです、自分もそうだったし。だけど、CADを使って作った、裏蓋が変なネジで2点止めの筐体とか、そんなバラエティが出てきたら「自分もCAD使って作ってみよう」っていう発想が生まれる可能性があるじゃないですか。

TSのクローン、ケンタのクローン、ヴィンテージのリイシュー、みたいなものが多いから、まぁそれはそれで良いんだけど、あまりにもそのパーセンテージが多すぎると思うんですよ。

ファンダメンタルな勉強をして、一から自分で作ろう、みたいな考えを持った人が増えると良いですね。

 

ー そうなって欲しいが故、革新的なものをLeqtique EVRで100年遺したい、と考えているんですね。

 

SN:そうです。

 

ー もし理想のエフェクターがあるとすれば、どんなものですか?

 

SN:一生弾いてられる感じがあるエフェクター、ですね。どんなに音が良いエフェクターがあれど、一生は弾けないですよね?いくつか一生弾けるエフェクターあるんですよ。

やりたかったこと、行きたかった場所、食べたかったもの、ありがたいことに大半が満たされたんですけど、回路はまだなんですよ。真空管アンプが持つ、ホロウ(Hollow = 中空)でアコースティックで複雑なサウンドをまだ出せてないんです。

 

ー そういったものを今後に作りたい、と。

 

SN:頭の中でプランがあって、それを現実化させたい。ただ、それがどんなフォーマットで出せるかはまだ分かりません。

2025年はそういった要素を持ったエフェクターを多数リリースできると思います。

 

- Leqtique EVR 製品一覧はコチラから -

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