Fenderが誇る、超強力なアッパーオクターブ・ファズ。1968年から1977年ごろまで生産されていたモデルで、今回入荷したのはポットデイトから1974年製と思われます。
トランジスタを5石使った、発売当時としては凝った回路のファズペダルで、その音色はまさに強烈。歪み量、アッパーオクターブの量はアッパーオクターブ・ファズの中でも際立って多く、4音以上を使ったコードはほぼ判別不可能なほど、破壊的な音色となります。一部のオルタナティブ・ミュージシャンに愛用されたこともむしろ納得でしょう。
“Volume”、“Sustain”、“Tone”、“Blend”の4つのコントロール・ノブと、“Tone Boost“と名付けられた高域を中心としたブースター効果を装備。Toneは効果の範囲がかなり広く、様々な音を出せますが、歪み量を決めるSustainはむしろ下げてもあまり効果的ではないかもしれません。Blendはその名の通り、原音をミックスするコントロールで、任意の量でクリーンサウンドをファズサウンドにブレンドすることができます。このBlendコントロールがモデル名“Blender”の由来となっているわけですが、そもそもの音色が強烈なため、Blendコントロールの効果について言及されることはあまりないように思います。ただし、ベースで使用する際には有効な機能です(バンドで実際に使ったことがあります)。
名機を多く輩出しているあのFenderがなぜ、このような暴君を世に放ったのか。もしくは、こんな暴君を世に出せるからこそ、新しい発想を楽器業界に吹き込むことができたのか。ある意味では意義深いモデルなのかもしれません。
裏面のオリジナルのゴム足が欠品。電池スナップ以外はすべてオリジナルの状態で、現在では動作も良好ですが、一部の電解コンデンサーの表面が酸化しています。表面のFenderのロゴの入ったパネルの端がわずかに浮いていますが、大きな支障はないとみなし、現状で販売いたします。