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以上、予めご了承くださいませ。
すでに多くの愛用者を産んでいる新生Phantom fxのファズペダル“MOTHER”のエクストラゲイン・バージョンです。
筐体内部に歪み量をコントロールする+(プラス)コントロールが追加され、筐体表面のSaturationコントロールと合わせて、2段階で歪み量を操作できるようになっています。
+コントロールが最小値では通常のMOTHERとほぼ同等の歪み量、最大値ではゲインがしっかりと上がり、聴感上で4〜5割ほど歪み量が増します。プレゼンスのような倍音感の広がりはほんの僅かに減りますが、歪みのコンプ感や密度感、サステインが欲しい方にはうってつけのオーダーでしょう。
逆にコードワークでのオープンな歪み方や、煌びやかな倍音感を好む方は、通常のMOTHERをお勧めします。
すでにお使いのMOTHERをMOTHER+に改造することも可能です。 改造のご依頼は下記のリンクから詳細をご確認いただき、カートに追加、決済ページに進んでください。
※+コントロール操作時にのみ、小さな音量で「ゴソゴソ」というノイズが出ますが、仕様となります。
ー以下、MOTHERの説明ですー
2007年から2013年のたった6年弱の間、数機種のエフェクターを発売したのみでありながら、日本のコアなペダルギークたちによって神格化されている伝説のドメスティック・ブランド“Phantom fx”をご存知でしょうか(ご存知でない方はコチラの記事もぜひ併せてご覧ください)。
ハイスピード爆音ファズの“Sabbath”、王道な良質オーバードライブ/ディストーションである“Fluid”、盟友Shun Nokinaとのコラボレーションによって生まれた“Bells”など、限られた人間のみしか知らないまでも、業界に大きな影響を与えた名機を多数輩出している、確かな実績のあるブランドです。しかし、2013年以降、Phantom fxは完全に沈黙。長い休止期間に入ったのです。
時は流れ、2020年。約7年に渡って沈黙を続けていたPhantom fx が突如として復活し、新作として発表したのがこのCULT限定販売となる“MOTHER“です。
MOTHERは元来、Phantom fxのイレギュラーなラインにあったファズペダルで、かろうじてBig Muff系と呼べるカテゴリー内に位置します。それはあくまでもBig Muffを発展させた回路を採用していることが理由であり、実際の音色はBig Muffに近似しているとは言えません。ローゲインからハイゲインまで使える範囲が広く、より実用的なトーンコントローラーが装備されており、非常に実戦向きなディストーション/ファズと呼べるでしょう。
しかし、その音色にはTriangle Knob、Ram's Headなどの1970年代に作られたオリジナルBig Muffを思わせるフィーリングが多分に含まれており、実戦的でありながらも決して近代的な音色ではありません。1970年代のBig Muffに宿る、型にはまっていないような、荒々しい野太さを音色の中心に据え、よりコントローラブルにチューニングしたもの、それがこの新生MOTHERを捉えた言葉であると言えます。
回路はBig Muffを発展させたもので、使用されているパーツはすべて厳選されたものです。特にトランジスタは、厳選されたものの中から、さらにひとつひとつ選定されており、ヴィンテージBig Muffに採用されていたことで知られるTO-106ケースの“2N5133”や、NOS品の貴重なトランジスタも含まれています。
ユニバーサル基板を使用した、オールドスクールなポイント・トゥ・ポイント製法をあえて採用。長年の使用に耐えうるための堅牢な配線、各パーツの強固な固定方法、そして将来的な修理を容易にするこの構造により、コレクタブルな満足感だけでなく、道具として遠慮せずに使える信頼感をプレイヤーに提供します。
筐体はステンレス製の上部と、アルミ製の下部を組み合わせた、このMOTHERのために作製されたオリジナルのものですが、この素材の組み合わせはTriangle Knobと同様であり、下葢に施された茶色い塗装も含め、音色と同様にヴィンテージ、オールドな雰囲気を醸しています。
これだけ拘られた点が多いにも関わらず、最も特徴的なのはやはりその音です。まず、中音域の広い範囲の中で特に美味しい帯域、成分が張り出しており、まるでスピーカーとの距離が縮まったように感じられるほど、音が前に飛び出して来るような印象を覚えます。あのミドルをカットした音色が特徴であるBig Muff系ファズでありながら、音像がハッキリと見えるのです。
コントロール系統はVolume、Shape、Saturationの3つ。それぞれ音量、音色、歪み量を調整します。特筆すべきはShapeコントロールで作られるサウンド・バリエーションの多さです。Big Muffと同じく、ローパスとハイパスフィルターを組み合わせたコントロールという点では共通ですが、ただ篭る、明るくなるといった平面的なトーンコントロールとは一線を画します。例えば、異なるふたつの色の絵の具を足し引きし、混ぜ合わして好きな色を作るように、“太さ”と“枯れ感”を好きな塩梅で混ぜるようなトーンコントローラー、それがShapeコントロールなのです。結果、Shapeのどの位置でも異なる色の音(音色)となり、無限のグラデーションを作れるようなトーンコントローラーとなっています。時計回り、反時計回りどちらの方向に振り切っても良いキャラクターの音となり、それら両極端の要素を好きなバランスで混ぜて使用することができます。
また、ハイゲイン・セッティング時には、長いサステインから自然にクロスフェードするように、感情を刺激するような“アツい”フィードバックが始まり、聴く側だけでなく、弾く側をも大きく刺激します。音色だけに限らず、この狙ったフィードバックの出しやすさ、その操作感を体感すると、あぁ、これがプレイヤーが作るドライブペダルなのかと、納得せざるを得ません。バックグラウンド・ノイズは決して少ない方とは言えませんが、ヴィンテージファズを知っている人であれば、驚くほどではないでしょう。
私(CULT 細川)個人としては、もしプレイヤーがこのMOTHERを買ったとすれば、そうそう手放すことはないと予想します。希少なヴィンテージパーツを使っているが故、そもそも同じ仕様は数百も作れないでしょう。つまり、買い逃した際の再入手が特に難しくなる恐れがあると見込んでいます。我々ペダルギークは、過去に幾度も真に買うべきペダルを見逃し、後悔しているはずです。このMOTHERを見逃したとすれば、その後に史上最も大きな後悔として、自らの身に降りかかってくるかもしれません。そう思えてならないほど、素晴らしい出来栄えのファズペダルです。「他に類の無い素晴らしい音」を聴いたのは、本当に久々の経験でした。
CULT 細川