1970年代から数多くのスタープレイヤー達の機材の修理や改造などを行い、同時にサウンドシステム構築の分野でパイオニアとして知られるイギリスの巨匠、Pete Cornishが作るペダルが入荷いたしました。
今回入荷したのは“Stand Alone Pedals”の中から2台を直列に連結した、“DUPLEX”というカスタムラインの1台。DUPLEXはいわゆるカスタムメイド品で、Pete Cornishに直接オーダーをして作られる、一般の小売店店頭ではほとんど流通しないシリーズですが、今回はアメリカのPete Cornishディーラーのひとつがオーダーした個体が入荷しています。
Pete Cornishが作るペダルの中でも特に評価の高い2種、“P-2 Fuzz”、“SS-2 Soft Sustain”が直列接続されており、片方ずつ、または両方をOnにして使うことが可能です。
P-2はBig Muffをベースに、改良されたToneコントロールや良質なバッファーを装備し、オーセンティックなファズ/ディストーション・サウンドをそのままのベクトルで洗練させた、非常に扱いやすいモデル。オリジナルのBig MuffのToneコントロールはオリジナリティの高い、しかし同時に効果が強すぎるものですが、このP-2は不要な高域をカットするような効果に留められており、そもそもの音色もBig Muff系としては素直です。
SS-2はPete Cornishが作るモデルの中でも特に広く知られている、Soft Sustainと名付けられたオーバードライブ/ディストーション。ギターボリュームの追従性に長け、高域から低域まで素直に、しかしワイドレンジに出力します。ワイドレンジを謳うペダルのほとんどがモダンな質感ですが、このSS-2はワイドレンジでありながらクラシカル、ナチュラルであることが大きな特徴です。なお、単独でも一般的なオーバードライブ+α ほどの歪み量を具えていますが、この機種を愛用するプレイヤーの多くが他のペダル、アンプと併用するブースターとして捉えています。
特にSoft Sustain(S-2、SS-3)はファズペダルを後段からブースト、トーンシェイプすることに秀でており、今回入荷した「P-2 → SS-3」のDUPLEXは合点のいく組み合わせだと思います。P-2で作られたファズサウンドにさらなる飽和感を付加し、非常にクリーミーでサステインの長いソロサウンドを作ることができます。それらを個別にOn/Offでき、組み合わせるタイミングをコントロールすれば、直列接続の1台とはいえ、かなりのサウンドバリエーションを作ることができるでしょう。
接続する機器の影響を受けないよう、電気的にアイソレーションされたTuner Outを装備していることもDUPLEXシリーズの特徴です。
言わずもがな、バッファードバイパスのバイパス音も素晴らしく、単にPete Cornishのペダルを2台手に入れるよりも良いパフォーマンスを得られるでしょう。
本体に貼られているラベルが若干赤く変色(色やけ)していますが、それ以外の大きな傷はなく、動作も良好です。
CULT 細川