CULTの代表を務める細川雄一郎と、Leqtique、L'の代表を務め、同ブランドの全製品の設計を担当するShun Nokina氏。その二人の間にある長年のパートナーシップから生まれた、CULT限定のアイテムです。
ステレオPower ICの内部直列接続という、過去にないアイディアによって生まれた、アンプライクなレスポンスと絶対的な汎用性を宿したオーバードライブ/ディストーション“Roger”。ソフトオーバードライブからクラシカルハイゲインディストーションまでを難なくこなす幅広いドライブレンジ、繊細なタッチすらも表現するレスポンスの良さ、そしてギタープレイヤーが欲するレン ジにうまく収められた旨みのある音色は、どんなシチュエーション、プレイにも対応してみせる、まさにオールラウンドプレイヤーと呼べたでしょう。そこにさらに一つ、太さ、粘り、それに相反するはずである抜けの良さ全てを同時に加える魔法のようなコ ントローラーを追加したのが、CULT限定で販売されるこの“Roger Supreme”です。
追加された小さな魔法のノブの名前は、“Middle”。しかし、そのノブが持つ効果は、ただ“中音域”と訳される程度のシンプルなものではありません。北海道、札幌市にあるLeqtiqueの工房にて、CULT代表を務める細川 雄一郎と、Leqtiqueの全設計を担うリ ードビルダー、Shun Nokinaがともに、もともと完成度の高かったRogerに欲する、極めて数少ない要素を突き詰める作業から始め、 その作業の末に発見された最高のドライブ・スパイス、『1.576KhzをQ=0.67で引き出す』ということを実現させたコントローラーを、ギタリストにとって最も馴染み深いであろう、Middleと名付けたのです。
この新たなMiddleコントローラーは、反時計回り方向に回し切ったセッティングで通常のRogerと同じ状態となります。そこから時計回り方向へ回していくと、1.576Khzを徐々に押し上げていき、4~6弦を交えたコードの太さ、音の奥行き、1~3弦を使ったソロノート の抜けの良さが同時に加味されていきます。高域を増減するToneコントローラーとも共有する帯域があるため、まず先にMiddleを好みのセッティングに固定したのち、Toneで高域のザラつきを調整すると、最も早く好みの音色にたどり着けるはずです。
Rogerが生来備えていた幅広いドライブレンジやレスポンスの良さはそのままに、Middleで強調できる太さ、抜けの良さを装備し、さらに汎用性が増したこのRoger Supreme。もし、プロスポーツの世界であれば、すでに完成されたアスリートが新たな要素を身につけることが容易ではないように、このRogerもまた、新たな機能を身につけることは容易ではありませんでした。小数点以下3桁にまで絞られた音楽的な方程式の解を導くため、新たに最適化された回路を構成し、それを基板上の限られたスペースに構築するまで、幾度もの夜を越え、そして幾度もの試作が行われました。その末に提示されたSupreme(至高)の名に恥じない真のオールラウンダーとのプレイを心ゆくまでお楽しみください。
〜設計者 Shun Nokina 氏より〜
極めてコンセプチュアルというべき、Maestoso, Roger, Caeruleum Lightdrive HDに一つノブを加えるという行為は、謂わば形而的なアプローチで、それぞれの持つ“音”というものをより現実的に触れることに一歩近づくことだと考えます。CULT 細川氏の秀逸なAdditional 1Knobの選択は自分のそれとは異なる故(MAT以外)、名ばかりではない最高のコラボレーションペダルが生まれたと思います。
デュアルステージ・パワーICでの歪みという、コンセプトの強力さが滲み出たような音像のRogerですが、コンセプト由来の音像が強力過ぎるため、僕自身はオリジナル機には敢えてシンプルなハイカットコントロール(Tone)を追加したのみでしたが、既にMidの芳醇なRogerに、細川氏拘りのほんの少し上のMid~Hi Midをブーストするコントロールを加えることで、心地の良いバイト感が演出されます。オリジナルを設計した僕も脱帽の“鬼に金棒”といった類の強化版Rogerです。
Shun Nokina
Leqtiqueを主催するShun Nokina氏のインタビュー記事もぜひ、併せてご一読くださいませ。
※本製品の配色は全ての個体で同様ですが、表面の模様は1台ごとに異なるため、実際にお届けできる商品は掲載された写真と同一ではありません。ご注文の際に外観の指定はできかねます。また、主要な部分以外に使われるコンポーネントは、予告なしに変更される場合がございます。あらかじめ、ご了承ください。