スペシャルインタビュー : Egawa(Sara Pedals、Phantom fx)

- 2025年 10月 Egawa氏の自宅工房にて -
ー まずは自己紹介をお願いいたします。
Egawa:Sara PedalsのEgawaと申します。
ー ご出身は?
Egawa:東京です。
ー ご自身ではどんな楽器を弾かれるんですか?
Egawa:ギターのみです。
ー 楽器はいつからやられてるんですか?
Egawa:楽器を始めるのが少し遅くて、高校2~3年くらいですね。その時はSyrup 16gとか、ART-SCHOOLとかが好きで、あとはポストロック、エレクトロニカ、ハードコアが好きで聴いていましたね。
ー では、ペダルの製作を始めたのはいつでしたか?
Egawa:え~と、たしか21~22歳くらいの時でしたね。
ー その時、初めて作ったペダルは何でしたか?
Egawa:Super Hard Onのコピーでしたね。王道ですよね。あの当時、最初に作るエフェクターといえばそれ、というものだったかなと思います。
ー なぜ、ペダルの製作を始めたんですか?きっかけになることがあったのでしょうか?
Egawa:電子工作とか、元々何かを作るのが好きだったし、当時そんなにお金も無かったので。ペダル、機材って高いものも多いから、自分で作れないかなと思って始めたのがきっかけですね。
ー 元々、機材が好きだったんでしょうか?
Egawa:そうですね。結構色々買ってましたよ。
ー 電子回路に関する知識はどうやって得たんですか?
Egawa:仕事では電気系の製造をしていましたが、設計はしていないので、ほぼ独学ということになりますね。
ー ペダルの製作と製造のお仕事、どちらが先だったんですか?
Egawa:もともと趣味でペダルの製作をしていて、そのあとに製造の仕事を始めました。その製造の方で培った方法論でペダルを作り始めた、みたいな感じです。
ー この部屋を見る限り、生活のすべてがペダル製作に向いているって感じですよね。生活用品があまりないというか... 例えばテレビやベッドも...

▲Egawa氏の自宅兼工房。大量の機材と部材に囲まれて生活している。
Egawa:そうですね。日常生活はミニマムにしちゃってますね。例えばベッドも捨てたし。凝ってるのは機材とコーヒーくらいなもので。
ー なんでベッド捨てちゃったんですか...!?
Egawa:いや、邪魔かなと思って... 背中鍛えたら無くても大丈夫なんじゃないかと。
ー マジっすか....!!寝っ転がりながらテレビ見たい、みたいなことはないもんなんですか?(笑)
Egawa:それはないかもしれませんね(笑)
ー あれ食べたい、これ食べたい、みたいなことはないんですか?
Egawa:今はなくなったかもしれないです。ただ、戸高さん(戸高賢史:ギタリストであり、同時にペダルブランド Phantom fxを牽引 )にフレンチレストランに連れて行ってもらって、そこがすごい美味しくで、感動したんですよ。価値観が変わったというか。でも、それから日常の食事がさらにどうでもよくなったんですよ(笑)
ー マジで何食べて生きてるんですか...??
Egawa:野菜と...肉...魚とか...。煮たり焼いたり、食べられる状態にするために調理してるって感じ。料理じゃなくて調理。昔は料理好きでしたけどね。
ー じゃあ欲しいものとかは...?
Egawa:最近だとヘルシオ・ホットクック。低温調理機と炊飯器がひとつで済んで、スペースが増えるので...
ー 合理的な性格なんですかね?
Egawa:どうなんでしょう。
ー 作業環境の作り方が徹底されてますよね。作業のための治具を自作していたり、合理性を追求しているというか。

▲Egawa氏が自作した吸煙機。詳細はこの記事を参照
Egawa:なんでこうじゃないんだ、こうなったら便利なのに、っていうのを常に追求していますね。
ー 立って作業をするスタイルも特徴的ですよね。
Egawa:そうですね。ちゃんとやりやすい環境でやるっていうことと、常にもっと効率が良い方法がないかってことは考えているので、常に改善させていますね。例えば同じ工程を繰り返すうち、最初にやった時と最後にやった時で作業時間を半分くらいまで減らしたい、みたいな目標を持ってやっているので。やりながら「こうしたらもっと早くできるかな」みたいなことを考えています。
ー ってことは、作業中に時間を計っていたりするんですか?
Egawa:計ってますよ。繰り返しの作業もあるので、全部ではないですけど。それでどこまで削れるかってことをやっていますね。
ー 何か紹介できるオリジナリティの高い治具や道具などはありますか?
Egawa:最近このステンレス製の指サックを買いました。
ー それはどうやって使うんですか?

▲左手の中指に着けているのがステンレス製の指サック。本来は手芸などに使う。
Egawa:ハンダ付けをする時に使うんですけど、パーツの足が浮かないように押さえるのに使います。今までは爪で押さえつけてハンダ付けしてたんですけど、Phantom EVRの製作を数百台とかしていると熱で爪がなくなっちゃって、これはマズイってなって(笑)
ー 過酷ですね...
Egawa:まぁ普通はヘルピングハンズとか使うんでしょうけど、それだと時間がかかるので。
ー 戸高さんに聞いたところによると、作業中に音楽を聴くようなこともしないんですよね?
Egawa:音楽は聴かないですね。専門でレコーディングの勉強していたことがあって、ボーカルのパンチイン/アウトをできるようにブレスの位置を聴いちゃう癖があるんで、脳のリソースを持っていかれちゃうんです。
ー え!?音楽系の学校に通っていたんですか?
Egawa:そうです。レコーディング関係のことを学んでました。
ー 2年ですか?
Egawa:2年です。
ー どんなことを学ばれてたんですか?
Egawa:結構ちゃんとやってましたよ。音楽の歴史も学びましたし、コンプなどのエフェクトの原理とかも。レコーディングのシミュレーションとかもやりましたね。短期間ですが、レコーディングスタジオで働いたこともありますよ。
ー 色々な経歴をお持ちなんですね。ここで面白いのが、合理性を推し進めていく傍ら、Egawaさんの作るペダルは特に手間のかかる製法で作られているってことですよね。
Egawa:確かに。合理性でいえば、プリント基板を作って、そこにすべてを収めてしまえば良いってことですよね?
ー そうですね。

▲Sara Pedalsのファズペダル“BMT”の内部
Egawa:でもそれは優先度だと思いますね。僕は保守性だとか、配線の綺麗さだとかを優先しているってことなんだと思います。製造ではなく、作業には合理性を求めているとは思いますけど。もちろん、製造の根本を変えることが合理的なんでしょうけど、今のやり方は僕の拘りなんでしょうね。そこがやりたいことなんだな、と。
ー なるほど。そういった拘りがないと作品にはならないですからね。商品にはなったとしても。
Egawa:あー、なるほど。でも合理性のかけらもないように見える作りなんですけど、僕からすると合理的なまとめ方をしているんですよ。
ー やはりペダルは面白いですね。みなさん、こういった拘りや考えを持って作っていらっしゃるので。
Egawa:そうですね。
ー 初めて買ったペダルは何でしたか?
Egawa:たしか、Blues Driver BD-2だったと思いますね。
ー やっぱり改造しました?
Egawa:改造しましたね。もう手元には残ってないですけど。
ー どんな改造したんですか?
Egawa:いやぁ、全く覚えてないです(笑)
ー 好きなエフェクターブランドはありますか?
Egawa:Lovepedalは昔から好きだし、DODも好きですね。
ー 両者のどんなところが好きですか?
Egawa:最近のLovepedalのペダルは触れてないので、今のものは分からないんですけど、全体のラインナップ通して“Lovepedalの音”がやっぱりあって。そのLovepedalの統一感が好きだったかなと。DODは、コンセプトがはっきりしているっていうか、「このペダルはこうしたい」っていうのが明確な気がして、僕にはそれが一貫性があるように感じていて、それが好きです。
ー Egawaさんがペダルやブランドを好きになる条件、基準はあると思いますか?LovepedalとDODではかなり対極的にも感じますが。
Egawa:そうですねぇ、やっぱりブランドのカラーがはっきりしていたり、統一性があるブランドは好きになりやすい気がしますね。
ー 色が濃いブランド、ということでしょうか。
Egawa:そうですね、そういう感じ。

▲Lovepedalのファズ“KARL”。右端が初期の個体。
ー ちょうどここにLovepedalのKarlがありますが、これは初期のものですよね?
Egawa:そうですね。Karlは3台持ってるんですけど、その初期のものが一番好きですね。
ー 僕も最近、Death of a Voxを買ったんですよ。僕もLovepedalは好きです。
Egawa:良いですよね。

▲Egawa氏の作業スペースには大量のペダルも保管されている。
ー 奥にある棚に載ってるエフェクターもお気に入りのものなんですか?
Egawa:そうですね。例えばRoland Double Beat、めちゃくちゃ好きですね。
ー Double Beat良いですよね。僕もこの機種のファズ部分好きなんですよ。ありそうで無い質感ですよね。
Egawa:そうですね、無いですね。
ー Roland Bee Geeも大好きです。音量小さいですけど。
Egawa:Bee Geeも良いですね。Boss DS-1の前身、系譜って感がして。Bee GeeをちゃんとディストーションっぽくしたようなものがDS-1って感じに思えるんで。
ー 他にもお気に入りのペダルはありますか?
Egawa:SkinpimpのMk.IIは好きですね。

▲アメリカのブティックブランド SkinpimpのTone Bender系ファズペダル。
ー マニアック過ぎませんか(笑)
Egawa:ファズのクローンを作っていたブランドですね。これはTone Bender Mk.IIの回路だったと思います。あとはIbanez Thrashmetal TM5も好きですね。あと、Human GearのMODERATOも好きですね。
ー MODERATOはトレモロですよね?どんなところが好きなんですか?
Egawa:トレモロとしてめっちゃ個性的で良かったですね。他にない感じというか。
ー 聞いていると、好きなペダルの種類やブランドがバラバラなのですが、音に惹かれているということなんでしょうか?
Egawa:う~ん、基本的に代えが利かないものが好きですね。音としてはディストーションは好きです。Heavy Metal HM-2とか、その系譜とか。あと、SD-9とか。
ー 良いですね。エフェクターが好きって感じが伝わってきます。ちなみに、一番好きってものを選ぼうと思うとどれになるんですか?

▲それぞれ仕様の異なるSD-9 Sonic Distortion。
Egawa:一番ってのは難しいですね...。SD-9とか、Big Muffとかになるのかな...とは思います。一番って言いながらふたつ出してますけど(笑)
ー Egawa氏とSara Pedals ー

ー Sara Pedalsを興したのはいつのことですか?
Egawa:2017年ですね。前職(電気系の製造)を辞めて、そのあとのことですね。
ー なぜブランドを興したんですか?
Egawa:自分が欲しいとか良いと思える中身のものがなかった、というか僕が見つけられなかったので、じゃあ自分でやろうかなっていうのが大きいですね。
ー ブランドを興さず、自作の範囲でも好きなものを作り続けることはできたとも思うのですが、それをブランドから流通させようと思ったのはなぜでしょうか?
Egawa:自分の中で納得できるものに触れてもらいたいなと思ったのが大きかったですね。
ー そして今、ご自宅ですべてひとりで作ってるってことですよね?
Egawa:クオリティ担保の為に板金製作、塗装、シルクは外注の協力会社さんにお願いしていて、ロゴなどのデザインについても知人の方に製作していただいています。
ー Sara Pedalsはnoteで丁寧に情報発信をしている印象があります。そこに何か狙いなどはあるのでしょうか?
Egawa:ものごとには意図とか理由とか文脈とかがあるじゃいですか?そこを取り除いて話をする意味を感じなくて。やるなら自分の口で話したり、noteでちゃんと投稿した方が意図は伝わるのかなと。
ー 今の日本のペダル界隈はXでの情報発信が主流になっているように見られますよね。
Egawa:短文だとどうしても真意、意図を書ききれないですし、受取手に委ねてしまう事が多いので、僕はあまり積極的に運用できていません。単純に僕の力不足なだけかもしれませんが。
ー noteとSNSの話を聞いたのは、Egawaさんが情報を届けたい人をあえて絞っているのかなと思っていて。SNSを多く使わず、届けたい人にだけ情報を届けているのかな、と。そこはどうなんでしょう?
Egawa:そこまでは考えていないですけど、賛同してくれる人がいたらいいなとは思ってやっていますね。
ー なるほど。話は変わって、EgawaさんはPhantom fxでも製作をしていますよね。どういった経緯で製作を担当するようになったのでしょうか?

▲Egawa氏が製作作業を務めているPhantom fxのペダル“MOTHER”の内部。
Egawa:戸高さんがペダルの製作をできる人を探していると共通の知人が聞いて、その知人が僕を紹介してくれました。そのあとに戸高さんに実際お会いして、一緒に作ることになりました。
ー Phantom fxでは具体的にどんなお仕事をされているのでしょうか?
Egawa:製作の細かな作業はほぼ僕がやっていて、音色的な決定を戸高さんがやっています。
ーPhantom fxとSara Pedals、両ブランドともEgawaさんが製作していますが、両者の最も大きな違いはなんでしょうか?
Egawa:音色の意思決定を僕がやるか、戸高さんがやるか、それが大きな違いですね。あとは「こういったペダルが作りたい」という発想も両ブランドで違う人がやっているわけですし、音色とか狙いは全然違うものになっていると思いますね。
ー 使うコンポーネントも両ブランドで違いますか?
Egawa:違いますね。似通っている部分もあるかもしれませんが、結構違うと思います。
ー Sara Pedalsの製品すべてに共通することがあるとすれば、それはどんなことだと思いますか?
Egawa:エフェクター、ペダルって、“単音色特化的”なものだと僕は思っていて、Sara Pedalsはどの機種も音色の幅の広さというより「こうやって使って欲しい」という狙いが強いので、どれも触ってくれれば意図が分かってもらえるように作っているつもりではあります。
ー Sara Pedalsといえば、手間のかかる手作業による工程が多いことが特徴だと思うのですが、なぜその製法を選んでいるのでしょうか?
Egawa:単純に好きだから、っていうのと...
ー それはその製法の作業自体ということでしょうか?それともその製法で出来上がったものが好き?
Egawa:どっちもです。あと、修理を考えた保守性ですね。せっかくなら長く使って欲しいなっていう思いがあるので、修理しやすいようにしようと思うとこの形になったという感じです。

▲Egawa氏が自身の手で製作する基板。
その様子は以下の動画でも見ることができる。
ー ポイント・トゥ・ポイントではなく、手間のかからないPCB基板(プリント基板)は今後も使わないですか?
Egawa:今はその予定はないですね。やってもいいかとは思うんですけど、ポイント・トゥ・ポイントで作る作業が好きですね。PCBはPCBで気を遣うんで。
ー それはどんなところにですか?
Egawa:コンデンサーの傾きとか。例えばWimaのコンデンサーのような四角いものが並んでた時、1個だけちょっと斜めになってると気になるんですよね。そういったことがPCBの方が目立つように思えるんですよね。僕の感覚の話なんですけど。
ー なるほど。製法について、さきほど保守性の良さということが挙がったんですけど、生産性にもこだわって作られているところが見受けられます。例えば内側にある板金部分。これもご自身で設計されているんですよね?

▲Sara Pedalsの内部にはスイッチ、ポット、配線、基板を固定するために作られた、金属製の板が配されている。
Egawa:そうですね。
ー これはどんな理由で作られているのでしょうか?
Egawa:製作時に外装の傷を防止するため、この内部の金属板の上だけで製作がある程度まで完結できるようになっているんです(筐体にパーツを直接取り付けて作業する必要がないため、製作時に筐体を痛めない)。また、途中で作業を止めることも簡単になるんです。
ー なるほど。配線材、コンデンサー、抵抗など、コンポーネントはどうやって決めているんですか?
Egawa:いやぁ、好みですけどね。
ー それは音の好みですか?大きさや物理的な硬さなどの使い心地など?
Egawa:両方ですね。
ー 新作を作る時って、どんなことがきっかけで作り始めるんですか?
Egawa:コンセプト、「こういう音にしたい」ってのを考えて、それを頭の中で一回固めてから、ブレボ(試作用の基板)とかで作り始めるって感じですね。
ー そのコンセプトを決めるにあたって、インスピレーションになるのはどんなことですか?
Egawa:具体的なきっかけは思い出せないですけど、「なんかこういうペダル欲しいな」っていうのが最初ですよね。無意識的に他のペダルとかも想起してるかもしれないんですけど、まずは「こんなペダルが欲しい」っていうところから、他のペダルを触ってみたりしますね。
ー 「こんなペダル」っていうのは、音をイメージしているんですか?それともコントロールの効果や幅などの機能をイメージしているんですか?
Egawa::音色が一番大きいですね。
ー 音がスタートなんですね。
Egawa:BMTだけは違いますけど。BMTはBig Muff トライアングル・ノブを自分が一番好きな形にしたようなものなので。

▲Sara Pedalsのビッグマフ系ペダル“BMT”。
ー そのBMTは回路上のトランジスタが4石すべて違いますよね。どういった理由でこうなっているんでしょうか?
Egawa:たまたまその時に使ったトランジスタがそれだった、みたいな感じだったと思います(笑)

▲BMTの内部。基板上には多種多様なパーツが並ぶ。
ー 抵抗に関しては8種類も使われていますが、こちらはどんな理由があるのでしょうか?
Egawa:意図的な部分がいくつかあるんですけど、それ以外は試作の時にフィーリングで選んだものを使っているって感じですね。
ー このRS-2B(赤褐色の大きな抵抗)はどんなものなんですか?
Egawa:それは酸金(酸化金属皮膜抵抗)ですね。
ー 緑色の大きな抵抗も酸金ですよね?酸金好きなんですか?
Egawa:まぁ、好きっちゃ好きですね。音声シグナルからグラウンドに落とすところ、いわゆるハイパスになるところは大きめの金属皮膜を意識して使っていますね。

▲BMTの内部にある3つのポットのうち、中央のToneコントローラーのポットが2連になっている。
ー BMTはToneコントローラーが2連ポットになっています。これはオリジナルのBig Muffには見られない仕様ですが、どんな意図があるのでしょうか?
Egawa:2連のうち、片側はBig Muffの一般的なToneコントロールと同じで、もう片側が低域の硬さを調整しています。Toneが開いた時に低域がスカスカになり過ぎないように、閉じた時には音がこもり過ぎないようにしています。
ー BMTのコンセプトとしては、トライアングル・ノブを自分の好きなように作り変えたもの、でしたよね?
Egawa:そうですね。
ー 具体的に、トライアングル・ノブのどんな部分を変えているんでしょうか?
Egawa:トライアングル・ノブ大好きなんですけど、コード感が分かる、音が潰れ過ぎない、ローが出過ぎない、そこらへんをちょうど良く作っているというか。僕の中でのバランス感が良いものというか。
ー 音以外の部分、外装に関しては、どんなことに考慮して決定しているのでしょうか?
Egawa:まず外装はパッと見でSara Pedalsのものだって分かるようにしたかったのと、ステンレスのヘアラインが好きなので、それをなるべく活かす形にしたいなと思っています。
ー Sara Pedalsの音を決めている最も重要なファクターは何だと思いますか?
Egawa:僕がひとりが設計して、僕ひとりがすべてを決定していることが大きいと思いますね。Sara Pedalsのペダルを複数触ってくれている人から、どのペダルにも共通点があるって言われることもあって。意図していないことも含めて、結果的にそうなってるみたいなんですよね。
ー では次に、エフェクターを設計する上で、最も重要なことは何だと思いますか?
Egawa:分かりやすさと保守性は意識してますよね。細川さんはSara Pedalsを実際に弾いてみて、分かりやすいと思いますか?
ー 分かりやすいと思いますね。それぞれキャラクターがハッキリしていると思います。「これはこういうペダルね」ってことが分かりますよ。
Egawa:それなら良かったです。そういうところが重要かなと思います。
ー ただ、どれにも共通して“オルタナ感”がある気がしますね。こんなに綺麗に作られているのに、良い意味でこぎれいな音ではないというか。通知表でいうところのオール4みたいなものでは決してない感じ。「体育 5 数学 2」みたいな。
Egawa:それはあると思いますね。本当にそれは言い得て妙かもしれません。オルタナ大好きですし、どこかに特化したものを心がけているので。
ー 良い意味でエフェクターっぽいです。かといって、バランスが悪いわけではないっていうのがEgawaさんのバランス感覚なのかなって思います。すごい使いにくいわけでもないですし、使いやす過ぎてキャラが無いわけでもない。
Egawa:そうなってればいいなって思いますね。
ー じゃあ良いペダルの条件があるとすれば、そういったキャラがしっかりとあることである、と?
Egawa:そうです。ペダルをいざ使う時って、基本的にオンとオフの操作しかしなわけじゃないですか?演奏中はペダルが持っている音色を入れるか切るかだけなんで、「こういう音色にしたいな」っていうヴィジョンがある時に、バチっとハマるものにしたいなって意識しています。
ー では最後に、Sara Pedalsが他のブランドと比べても負けないと言えるような強みはどんなところですか?
Egawa:そうですねぇ... 保守性の良さだったり、配線の綺麗さだったりだったりはそうかなと思いますね。ただ、自分の中では普通みたいになってるんで。とはいえ、一般的なペダルのフォーマットではないじゃないですか?
ー はい、全くもって。
Egawa:でも僕の中ではこれ(この作り)が普通。どっちが良い、悪いではなくて、ですね。
作ってるのはペダルなんですけど、ペダルを作ろうと思って作ってるわけではないんです。
ー 確かに、他のブランドとは根本から違うようにも思えますね。そこがSara Pedalsの強みってことですよね?
Egawa:いや、まぁ、そうなんですけど、難しいですね。それは「過剰品質なんじゃね?」とも言えるわけで。
誰もそんなこと求めてないって言われてしまえばその通りなんですけど、やっぱり僕が求めてるのはこれなんです。
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