ペダルタイプのコンプレッサーとしては局所的に、しかし異様なほどの評価を受ける知る人ぞ知る名機、BJFE Pale Green Compressorが入荷いたしました。
BJFEとは、BJFの名前でも知られるスウェーデンの鬼才 Björn Juhl が率いるブランドで、今もストックホルム郊外にある工房でBjörn Juhl本人とその妻の2人で製品(作品とも呼ぶべきかもしれません)を作り続けています。
CULTはBjörn Juhlに直接依頼し、最初期のニトロセルロースラッカー塗装のPale Green Compressorを復刻、販売して参りましたが(詳しくはこちらから)、今回入荷したのは後期型のオリジナル個体です。シリアルナンバーは40番台。個人的な経験、調査では、オリジナルのPale Green Compressorの総製作台数は80~90台前後と予測しており、今回の入荷がいかに貴重な機会であるかが解るでしょう。
Pale Green CompressorはBjörn Juhl自身がBeatlesのカバーをするために設計したオプティカルタイプのコンプレッサーであり、原音に対して非常にナチュラル、そうでありながら心地良い効果を持っていることが特徴です。コンプレッションの加減、帯域の整理のどちらもが秀逸であり、エフェクトがONになってることを忘れてしまうのにOFFにはできない、そんな気持ちにさせる効果です。
Bodyコントロールは、12時方向を中心とし、時計回り方向では高域のロールオフを促すと同時に低域をわずかに足し、太く柔らかい音色を作ります。逆に反時計回り方向では煌びやかな高域のまま低域を太く、レンジが広がったような音色を作り出します。これらの効果は音色の微調整とともに、アンプや他の機材で生まれてしまう、特定の周波数での歪みを軽減させる狙いもあったといいます。
Compコントロールはコンプレッションの強さを調整するためのもので、効果の幅は広く取られています。最小値ではほとんどコンプせず、音色をトリートメントするような効果を生み、そこから少しずつ上げていくことで次第に心地良いコンプレションを作り、そして大きく上げることでごくわずかなサチュレーション感も生みます。ナチュラルな質感を作ることが可能な機種であることは間違いありませんが、このCompコントロールの効く幅が広いため、コンプレッサーとしての効果は強い部類に入ると思います。
Pale Green Compressorは同名でBearfootからも復刻されていますが、BJFEの元とは解像度、コンプのナチュラルさという点で大きく違います。BJFE名義のオリジナルのものはコンプレッションがかかっていても原音に近い解像度の高さがあり、そうでありながらも質感がソフトでナチュラルという、非常に音楽的な特徴があります。現在は後継機種のPine Green Compressorがオーダー可能ですが、音色も効果も含め、全体的にソフトと感じさせる優れた質感は、オリジナルPale Greenならではです。日本の製品のようなカッチリとした質感ではなく、アメリカの製品のような力強い主張もなく、洗練された中にある角のなさ、そんなPale Green Compressorの音色はまさしくヨーロッパで培われた質感であるように思います。
塗装の特性上、全体的に小さな塗装のカケ、傷、そして裏面にはゴム足を外した跡ができてしまっていますが、動作は良好です。
希少性:8 / 10(現在での流通量がほとんど無く、多くても3年に1~2回程度しか取引されない)
付属品:無
改造歴:無
状態:細かな傷、塗装の剥がれ数箇所のみございます。
動作保証:6ヵ月(代替パーツでの修理となる場合がございます)
備考: