こちらの商品は受注生産品となり、【8月31日 21:00〜 9月30日 23:59】の期間で受注を承ります。受注は今回の1度きりとなる、完全限定品です。
こちらの商品ページからご注文いただき、決済を終えた時点で受注は完了となり、製作、出荷は受注をいただいた順に行います。
現在の最短の出荷は【12月中旬】を予定しております。
ご購入は1世帯につき2台のみとさせていただきます。合計3台以上の購入が判明した場合、注文自体をキャンセルさせていただきます。
受注数がご用意可能な数を超えた場合、予告なく受注を終了いたします。
筐体表面の模様は個体ごとに異なります。模様が理由での返品、交換は致しかねます。
以上、あらかじめご了承ください。
Virtuesの前作“Stella”より、約2年ぶりの発表となる今作“arca”。今作は『トランスルーセント系』という新しいジャンルに挑戦したオーバードライブとなります。
狙いを定めたのは『トランスペアレント=透明』ではなく、あくまでも『トランスルーセント=半透明』。両者に共通点はあれど、似て非なるものです。
トランスペアレント系は、2000年代半ばに発表されたPaul Cochrane “Timmy”に代表される、原音に対して加工感が少なく、無色ともいえる音色が特徴のオーバードライブペダルのジャンルです。原音への加工感の少なさが転じてトランスペアレント=透明という言葉で表された同ジャンルは、低域のカット、中域の強調といったような、原音のレンジ感を大きく変える古典的なオーバードライブへのカウンターとして生まれ、多くのフォロワーを生みました。
では、今回にarcaが挑戦したトランスルーセント系とは一体どんなものなのか。

arcaが提示するトランスルーセント系とは、原音への加工感が少なく、無色透明のようでいながら、同時に豊かな中音域と原音を滲ますようなドライブサウンドを持っていること。トランスペアレント系と同様、自然な太さ、グラッシィな高域はありつつ、ギターが本来持つ中音域の存在感を強く残すことで、より汎用性の高い音色となっています。
また、ドライブサウンドはトランスペアレント系よりも良い意味で加工感が強く、芯から歪むドライブサウンドとなっています。
arcaは回路や音色にトランスペアレント系と共通する部分を多く持っていながら、原音を損なわない自然な風味がある、良質なオーバードライブなのです。

コントロールはVolume(左上)、Gain(右上)、Treble(左下)、Bass(右下)の4つ。各コントロールはトランスペアレント系と同様でありながら、サウンドコンセプトに合わせてその効果が調整されています。
また、今回のarca CULT Limitedは、通常版よりもGainコントロールの最大値を大きく上げ、オーバードライブペダルとしてはかなり大きな歪み量を作ることができるようになっています。なお、Gainの最小値は通常版と変わらないため、クリーンブースター、ローゲインオーバードライブなどのサウンドを作り出すことも可能です。

典型的なトランスペアレント系の回路は、クリアな音色を再現するべく、非常にシンプルな増幅回路を組み、そこに大きく歪まないクリッパー(歪ませるための回路)を備えたもの。arcaの基本的な回路もそれに近いながら、クリッパー部分は“ハード・クリップ”と呼ばれる、主にディストーションに用いられる回路になっています。arcaの回路上での創意工夫は多くあれど、この『トランスペアレント系 + ハード・クリップ』という点こそ、トランスルーセント系を再現する上で重要なポイントとなっています。

回路だけでなく、巻線抵抗、ポリフェニレンサルファイド・コンデンサーなど、適所にオリジナリティのあるパーツが使われていますが、特にVirtuesのビルダー 小林氏 が設計時に特にこだわったパーツは、このオーディオ用オペアンプ。中域にキャラクターがあり、このオペアンプありきで設計がなされています。

通常のarcaはVirtuesのその他のラインナップと同様、アルマイト加工されたアルミ製の筐体を使用していますが、このCULT Limitedでは“ガルバナイズド鋼板”を使った筐体を採用しています。1台ごとに異なる、金属素地に現れる結晶構造(スパングル模様)が美しく、その模様を活かすためのクリア塗装を施しています。
〜〜系と言葉は、多くはその本質を伝えるためというより販売促進のために作られる、いわば“売り文句”のようなものがほとんどです。そのため、〜〜系という言葉の中には中身が無いまま作られた、いわば「言ったもん勝ち」のような、悪質なものもあったように思います。しかし、今回のトランスルーセント系は違います。Virtuesのビルダーの発案による言葉なのですが、本当にうまく言い表したな、と思っています。半透明 ___ 半分はトランスペアレントだけど、もう半分は違う。まさにその通りの音と回路です。トランスルーセント系を謳ったオーバードライブは過去にわずかながら存在していますが、このarcaはその言葉に相応しい、新感覚のオーバードライブになっていると思います。
CULT 細川