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ignition/of/mass-products//


レギュラー価格 ¥27,000
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※9月1日 20:00より、今回の入荷分を少数ながら販売いたします。お見逃しなく!

 

 既成のマスプロダクト製品を自らの流儀で昇華し、新たなプロダクトとして輩出するignition/of/mass-products//より、ARTに続く2つ目のディストーションの発表です。

 今回、“ignition”させる対象となったのは、MXR Distortion+。同社が正式に操業を始めた1974年当初からラインナップされていた、世界的にも最古の部類に入るディストーションペダルの1つです。そのDistortion+が当時からの原始的な姿を大きく変えず、現代まで作り続けられていることには賛辞を贈るべきであるかもしれませんが、現行のモデルには『意図された音』が完全に失われてしまっていると、ignition/of/mass-products//のビルダー、K.Taichi氏は語ります。 

 

 Distortion+は、発売最初期である1973〜74年のわずかな間に2度、回路の一部に変更が加えられています。その変更は明らかに低域を膨よかにするものでしたが、その改変は高域の質感にも影響しており、設計当初のDistortion+にあったクリアな高域が付加された低域と引き換えに失われており、その設計当初のヴィンテージの音こそが『意図された音』であると、K.Taichi氏は多く集められたヴィンテージの実機と史実を前に語ります。

 その『意図された音』を基準に、失われた高域の質感を現代に蘇らせ、且つ、豊かな低域の再生も実現する。それがこのDirectionに与えられた使命でした。

 

 まず、 1973〜75年の間に作られた複数のDistortion+を解析し、回路の変更遍歴からKeith Barr(※1)の意図を理解することからプロジェクトが始まり、その意図を現代の基板上に再生させたのち、中低域までのレンジ感の補完が行われたDirectionは、非常にシンプルな“プリアンプ”へ転生されていました。

1MXRの創始者の一人であり、Distortion+の設計者。2010年逝去。Distortion+は本人が単独でデザインしたのではなく、Dyna CompBule Boxを設計したことで知られるRichard Neatrourらと協力し、音を出しながら回路を決めたと、生前に語っている

 

 

 

 Distortion+にあった“歪みエフェクター感”がこのDirectionでは薄れ、原音と歪んだ音が分離しているかのようなキャラクターが、このDirectionの最大の特徴であると言えるはずです。事実、DirectionをOn/Offしても、そのレンジ感には原音と比べて大きな差が出ません。Gainコントローラーを一定以上に設定した時のみ、原音に忠実な歪みが、原音に添うようにして生まれ、同時に心地よい程度に低域の膨らみが生じます。しかし、ひとたびギターボリュームを絞れば、ヴィンテージ機器のような美しい高域の響きを伴うクリーントーンが姿を現します。

 また、Distortion+の最大の弱点であったDistortionコントローラーを下げた際の窮屈なレンジ感とコンプ感が完全に解消されており、DirectionのGainコントローラーはどの位置でも自然で有用な音色となります。ローゲイン域から最大ゲイン域まで、常に原音を尊重した、しかし絶妙にヴィンテージ的な味付けが成された音色を維持し続けることが可能です。これをプリアンプ的と呼ばずして、なんと呼ぶべきでしょう。

 そういった特徴を再現するため、Directionにはコストや入手性を度返ししたような、希少なヴィンテージコンポーネントが大量に投入されています。

 数百万円の価値がつけられるオーディオアンプに採用され、その音はこのパーツでしか成し得ないとすら言われる、Clarostat社製のボリュームポットを始め、

 

 

 それだけで数千円の価値を持つこともあるSprague社製のヴィンテージ・オイルペーパー・コンデンサー。

 

 

 最も強く琴線に触れた音色を持っていたという、希少なRCA社製のOPアンプ

 

 そのほか、全てのコンポーネントは然るべき意味があってそこにあるとお考えください。

 そういった実用的な特性とは全く対照的に、“Murd”と名付けられた、非常に物騒なモードがGainコントローラーの最小位置に隠されています。Gainをゼロの位置に設定し、MurdモードがOnになった状態では、この機種の極限を超えた増幅が回路上で行われ、強烈な歪みと過度なハーモニクス、そして鳴り止まないハウリングが凄惨な音場を作り出します。このモードは、Gainをゼロの位置まで使ってもらいたい、あえてK.Taichi氏の言葉をそのまま借りれば、「そうじゃないとポットが可哀想だからw」という、電子部品に対する溢れる想いから実装されました。

 

 とにかく、素晴らしい質感のプリアンプ的ドライブペダルです。良いヴィンテージ歪みエフェクターの音色には共通して、高域が過度に鼓膜を突かず、そうでありながら音がクリアで抜ける、といった類の特性が具わっていると考えているのですが、この新品のDirectionにも同様のことを感じます。ぜひ、元となったDistortion+のことは意識せず、フラットな心持ちでフットスイッチを踏み、コードをワンストロークしてみてください。

by CULT 細川

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