Electro Haromnixが誇る超名作ペダルのひとつ、Micro Synthesizer。発売は1979年ですが、内部のパーツのデイティングから1981年製と思われる後期型の個体です。
そのコンセプトはギターでアナログシンセの音色を再現するペダルであり、デジタル技術が未成熟であった当時としては当たり前ですが、完全にアナログ回路です。にも関わらず、アナログシンセの音色の再現度はなかなかのものです(設定にもよりますが)。ファズ、オクターバー、リングモジュレーター、アタックディレイ、エンヴェロープ・フィルターなどの複合回路と言えますが、エフェクトを直列に繋いで得られる足し算的な音色とは一線を画す、まるでギターとアナログシンセサイザーをひとつに融合させたような、素晴らしい演奏感を持ったひとつの楽器と言えます。
コントロール系統は信号を加工、上下オクターブの音量を増減させるVoice Mixingセクション、エンヴェロープ・フィルターを細かく操作するFilter Sweepセクション、そしてそのどちらにも属さない補助的なセクションに分けられています。各オクターブのバランス、フィルターの周波数を調整し、Attack Delayコントロールを使ってアタックを消せば、まさにアナログシンセ的な音色。1970年代のSF映画のBGMがすぐにでも作れそうです。あえてアナログシンセを意識せず、飛び道具的に使うことも良いでしょう。
現在ではリイシューもされていますが、Electro Harmonixのペダルの中で特にリイシューとオリジナルの音色に差がある機種です。音の太さ、濃密さがまるで違います。最新のリイシューモデルは省スペースであり、汎用電源で動くことも魅力的ですが、音色で考えれば、Micro Synthesizerは個人的には絶対にオリジナル派です。
ペダルボードにマウントしやすいよう、電源ケーブルが短くカットされている他、内部が修理(オペアンプが2箇所交換)されているなど、しっかりと実用されてきたことが伺える個体だけあって、音色も安定しています。100Vでも動作しますが、正式には117V仕様であるため、117Vでの使用をお勧めいたします。
CULT 細川