2003年の誕生からすでに20年もの間、ハイエンド・オーバードライブ・ペダルの地位を保ってきた現代の名機が入荷です。
世の中がまだ純粋なTS系に夢中だった時代、いち早くその界隈から脱し、より普遍的な歪みを求めて作られたペダルで、具体的にはCesar Diazの改造したFender Deluxe Reverbの音を目指して設計されているとのこと。その回路はMarshall Blues Breaker(アンプではなく、ペダルです)を元に、定数やキーとなる部品が細かくチューニングされています。
完全独立2チャンネル仕様で、それぞれのチャンネルを単独でも複合しても使うことができます。各チャンネルにはVolume、Drive、Toneのコントロールが用意され、さらに内部には各チャンネルに対応したトレブルを調整するトリマー、そして歪みのモードを切り替えるDIPスイッチが装備されています。DIPスイッチではクリッピングの方式を切り替え、歪み量と音量を大きく変えることができ、ブースターや単独のドライブペダルとしてなどの用途に合わせてセットします。
実際に音を出してみると、クランクアップさせたFender Deluxe Reverbを狙ったというのも理解できます。歪みの質はスムース過ぎず、中域ばかりにフォーカスしていない特性。このモデルが発売された当時の潮流とは随分離れており、さぞかしセンセーショナルなモデルであったであろうことが容易に想像できます。近年のトランスペアレント系とは異なるクセの少なさがあり、透明感は少ないながらも無色、といった趣きを覚えます。グラッシィと称される近年のフィルターレスな音色ではなく、柔らかい質感でありながら極端にクセのないオーバードライブ、そんな印象です。
シリアルナンバーは700番台(現在は20,000番台)で、2007年製。比較的初期のものとなります。オプションオーダーはなく、いわゆるスタンダードなモデルのバージョン4。状態が抜群に良く、箱、巾着袋、取扱説明書(英語)が付属いたします。近年に人気が再燃していますが、この年式、この状態のものはなかなか見当たらないと思います。