“9/9”、“10/10”に続く、Leqtiqueのハイゲイン・ディストーションのシリーズ第3作目が“11/11”でした。リリース当初、高い人気を集めたものの、Leqtiqueの一時的な活動停止とともに、11/11もその高い人気を擁したまま製作休止に。しかし、その11/11が“11/11 EVR”となって復活です。
9/9、10/10がタイトで反応性に優れたハイゲインサウンドだったことに対し、この11/11はより力強く、マッシブなハイゲインサウンドとなっています。9/9、10/10の歪みは、どちらもD-MOSFETという素子の増幅を利用して作られたものでしたが、この11/11はパワーアンプICという、例えば小型のスピーカーを駆動させるような素子を使って作られています。そのパワーアンプICで作られる11/11の歪みは、大きな塊、もしくはブ厚い音の壁というような、非常に密度感が高く、迫力のある音色が特徴です。ただし、音が潰れているという感触はあまりなく、そうでありながらも極度の密度感があるという、他に類のない音色なのです。
極大な歪み量と相反して、タッチレスポンスやギターボリュームへの追従性に優れ、ピッキングニュアンスの再現、ギターボリュームを使ったクリーンアップといった、ギターの繊細な表現も可能。歪み量の多さを考えると、異質な特徴と言えます。
コントロール類は、Volume(左上)、Gain(右上)、Bottom(中央)、Edge(小さなノブ)の4つに加えて、基板部にミニスイッチを2つ装備。内部の2つのミニスイッチはどちらも低域の反応性、歪みの質感を絶妙に変えるもので、サウンドバリエーションの幅を広げます。
11/11の回路には、世の中の多くのディストーションに採用されているようなダイオードクリッピング機構はなく、純粋な素子の増幅だけで作り出せれた歪みが出力されます。ダイオードクリッピングを用いた歪みは、クリスピーで心地良い食いつき感が作り出せる一方、多くの場合で画一的な歪みとなります。11/11のように素子だけで作る歪みは、例えば名機とされるファズペダルにあるような有機性があり、そのペダルならではの個性が宿ります。その有機性こそ、高いゲインや優れたレスポンスを超える、この11/11に宿る大きな魅力のひとつなのです。
「100年後も動くペダル」を目指して作られた、Leeqtique EVRの新設計を基本搭載。内部に埃の入りにくい密閉型のポット、耐久性と踏み心地ににこだわって選ばれたフットスイッチ、キーストーン社の頑強な電池ホルダー、特注の金属製DCジャック、そしてそれらの採用を可能にした専用設計のアルミ削り出し筐体など、高耐久でオリジナリティのあるパーツ、機構が多数盛り込まれています。
筐体の外装にはアルマイト加工が施されており、過去のLeqtiqueのような塗装の脆さはありません。表面にはShun Nokina氏がひとつひとつ手作業でSwirl(表面のマーブル模様)を描いたステンレス製プレートが精巧に貼られ、過去のLeqtiqueの雰囲気はそのままに、より立体感のある仕上がりになっています。
裏蓋はコインやピックで開けられる構造になっており、ペダル内部へのアクセスも容易です。このことは電池交換を容易にするだけではなく、「ペダル内のパーツや構造にも興味を持って欲しい」というShun Nokina氏の想いもあってのことです。
CULT 細川
Leqtiqueを主催するShun Nokina氏のインタビュー記事もぜひ、併せてご一読くださいませ。
※本製品の配色は全ての個体で同様ですが、表面の模様は1台ごとに異なるため、実際にお届けできる商品は掲載された写真と同一ではありません。ご注文の際に外観の指定はできかねます。
Gain、Volumeコントロールの設定によっては発振し易い状態となりますが、仕様上のこととなります。
あらかじめ、ご了承ください。