※11月22日(日) 21:00より、少数ながら再入荷分を販売いたします。→完売いたしました。次回入荷をぜひ楽しみにお待ちくださいませ。
2018年、大阪で興ったばかりの新生ブランド“ignition/of/mass-products//”の記念すべき処女作であるARTを紹介します。
ARTはディストーションペダルの金字塔、Pro-co RATを元にしたエフェクターですが、例えば近年の通称RAT 2の音色とは大きく異なり、ヴィンテージ感を重視した質感を基本としています。使用するコンポーネントに徹底してこだわり、必要なバイト感を備えながらも、どこかソフトな心地よい質感を再現しています。
ヴィンテージのRATの中でも特に良いとされる個体は、ゲインを下げた際の質感にその真髄があり、そのことは一部のペダルギークの間では周知の事実ですが、このARTはそのローゲイン領域での音色、総合的な質感に特にこだわって作られています。GAINコントローラーを9時方向以下に設定した際は、まさしく枯れたというに相応しい質感のクラシカルなクランチと、絶妙なギターボリュームへのレスポンスを魅せます。弾き手側が最大限にコントロールできる状態を再現するという意味では、プリアンプ的特性が備わっているとも言えるでしょう。しかし、その質感はフルレンジではなく、あくまでも良い意味で効果的であり、非常に味わい深い音色となります。この特徴こそ、RATファンを最も喜ばすことができるのではないでしょうか?
内部の心臓部であるオペアンプは、ヴィンテージのRATと同じく、80年代に作られたNational Semiconductor社製LM308Nを搭載し、同じく影響力の高いアウトブットバッファー部に使われるFETもヴィンテージのRATと同様にMotorora社製の2N5458が搭載されていますが、それ以外のコンポーネントは音色を最大限に重視した、このブランド特有のセンスが際立つものが選択されています。筐体の大きさも基板上での自由度、ツマミやLEDと踏む足が干渉しないレイアウトを実現するためのものであり、使う側の我々が従わざるを得ない大きさとも言えるのでしょう。
枯れたクランチ、クラシカルディストーションを通過し、最大のゲインではファズ的なニュアンスを含んだ野太いディストーションを再現という、良いとされるRATの質感はそのままに、ビルダーであるK.Taichi氏が自身の拘りをふんだんに盛り込んだこのARTこそ、真にRATの上位互換に値するはずです。
ignition/of/mass-products// を主催するK.Taichi氏のインタビュー記事もぜひ、併せてご一読くださいませ。