シンセサイザーではお馴染みのMoog発。歴史的名機と呼んでも決して過言ではないアナログディレイが入荷して参りました。2000年に1,000台のみの限定生産品として発売されたこのMF-104は、その当時から10万円を超える価格でありながら全数が完売し、現在では着々と値が上がっています。
“太い音”として語られることの多いこのMF-104ですが、実際はその音の太さよりもずっと、原音とディレイ音の混じり合い方に特徴があります。
そもそもディレイ音が“太い”と記すと、まるで低音が多く出ているように思わせてしまいますが、実際はディレイ音の低音が強い訳では決してありません。低域寄りの中域が出ていることは確かですが、音域だけでは言い表せない、しっかりと聴こえてくる存在感があります。そして、総じて存在感の強いディレイ音でありながら、相反して、そのディレイ音はデジタルディレイのように原音とぶつかり合わず、絶妙な原音との混じり合いを見せるのです。ディレイ音は確かに聴こえていながら、それらは原音と調和し、様々なフレージングをしても自然に聴こえるのです。これこそがMF-104が最も評価されるべき点でしょう。後継機種のMF-104Z、MF-104Mが具えていない、大きな特徴です。
その基本的な素晴らしい音色に加えて、高い機能性と、ヴィンテージ・アナログディレイにはない、優れたノイズ耐性。そして狂気的な発振音。インサート・ループも備えており、Send/Return 間に繋いだエフェクトをディレイ音にかけることが可能です。また、
Delay Time、Feedback、Mixの3つ全てのコントロールは、エクスプレッション・コントロール、CVでのコントロールに対応しており、エクスプレッション・ペダルやCV出力を持った他の機器によって各パラメーターを操作することが可能です。最長ディレイタイムは当時のアナログディレイとしては異例の長さ、800mSecです。
今回入荷してきた個体は、使用痕が非常に少ない、ニア・ミント・コンディションと呼べるもの。付属品も完備し、動作も正常です。
一見、かなり高価なように思えますが、最高のアナログディレイ・ペダルとしての価値、そして現在にはほぼ残っていないであろう、ニア・ミント・コンディションであることを考えれば、むしろお求め易いとも言えるでしょう。今後に同じ状態のMF-104が入荷してくるとは、到底思えません。